満月に捧げるミサの記録

ライブハウスは教会だ。好きなバンド同士のツーマンスリーマンも好きだけど、ワンマンライブは祈りを捧げるミサと同じだ。とっておきの2時間。あの時間、フロアにいるお客さんの数だけ祈りがあって、願いがある。みんなが同じ曲を聴きながら違うことを考えている。だからミサなんだと思った。



ひょ〜、この先とんでもなく大きくなるんだろうなってバンドのワンマンがあった。丁度11ヶ月前に恵比寿でワンマン達成した彼らは、去年の23倍は大きいライブハウスを若者で埋め尽くして、45倍はパワーアップしていて、67倍かっこよくなっていた。とにかく真っ直ぐだった。あ〜、これはこの先も好きでいたいな、このバンドがわたしの人生を彩ってるわ、と考えた。他の人がどんなことを考えているのかはわからないけど、真っ直ぐ突き上がる沢山の拳と、ステージの光でほんのり浮かび上がる隣の人の高揚した横顔が楽しさを語っていた。拳が美しかった。



この曲を友達に教えられてから沼にはまったんだったなぁ、これは夏の夜に口ずさんだなぁ、これは去年の恵比寿で聴いた時もすごかったなぁ、これを聴きながら大変な試験勉強を乗り越えたよなぁ、そういえば最近、黒歴史だと思っていた昔の恋が美しい思い出になってふと思い出されるなぁ、彼らのように真っ直ぐ生きられたら迷いも悩みも怖くないだろうなぁ、あぁ、11ヶ月経って私は何か変わったのかな、失ったものは何だろう、得たものは何だろう


これが私が2時間かけて考えたことです。11ヶ月前は確か、バ先の理不尽さに対して「おりゃ〜!」って思ったし、自死した知人のことを考えた気がする。自死はいけないよ、って思った気がする。あれからもう一年近く経って、それしか道がない、と考えてしまう人の気持ちも少しはわかった気がしているし、だからこそ私は生き続けたいなと思う。あることに対しての視点が1つから2つになったのは大きな成長だ。

田舎から出てきて東京で踏ん張る彼らはよく東京について歌うけど、私は自分の人生の舞台を東京ではなく地方に決めた。とりあえず3年は地方で踏ん張るからな、あなたたちは私の元までエネルギーを届けてね、なんて考えたりもした。


あ〜そうか、私が失ったものって大学生活11ヶ月分の時間。卒業までのカウントダウンが加速している。

失ったものはそれだけで、その時間で数え切れないくらいのものを得たし、きっと私は成長できてるな。



ここ数回のライブは、イヤリングの片っぽとかドリンクチケットとか何かしら落し物をしていたけど、今日は手に握っていたロッカー代をどこかに落とした。この癖に自分で笑ってしまう。




「最高な時」って、気付いた時には終わっているらしいけど、私は2時間ずっと「サイコ〜!」って思ってたよ、KOTORIありがとう、今夜は満月だ